先日、資料本を読んでいて、ちょっといいなと思ったので忘れないようこちらにメモを。

 創造性について、「神の伝令」と呼ばれる見方がある。完成作品は創造する人々の心の中にそっくりそのまま植えつけられているとみなす考え方だ。神の伝令説が指し示すのは、自分は頭の中に聴こえる完成した交響曲を書きとめるだけだと主張した、モーツアルトのような人たちの存在である。

 創造性を見るもう一つの、多くの人々の体験と一致する見方は、創造的と言われる人を突然ひらめく天才というよりも、骨をもった犬に似ているとみなす。

 アイデアをつかんだらはなさない。いつまでもしがみつく。仕事机の前でも、もっと日常的な場所でも、問題を考えつづける。犬が何時間でも同じ骨を噛みつづけるように、噛みつづける。

 骨のイメージはいきいきとしてよくわかる。犬はかじっていないときも、骨を足のあいだにおいて守る。創造的なアイデアを育てるときも同じで、取りくんでいないように見えていても実はそうではない。犬は大きくて肉の残った、噛んでおいしい肉をとる。そして創造的な人たちは、簡単に答えが出るような問題には何のやりがいも見いださず、噛めば味の出る、噛みごたえのあるものに食らいつきたがる。

 創造性のほんとうの特徴はこうだ。①どの問題が結果を生みそうか、したがって取りくむ価値があるかを感知する能力。②選び出した問題を解けるという自信。③ほかの人があきらめるような場面でもやりつづける、不屈のねばりづよさ。創造性は夢にでてくる神秘的なビジョンや、幸福な環境の結果ではない。創造性と持続性は同義なのだ。意識的にせよ無意識にせよ、その問題についてたえず考えていると、偶然の出来事が解決の役に立つ可能性が最大になる。

……以上、「THE MAN WHO TASTWD SHAPES」 リチャード・E・シトーウィック より引用、でした。